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白い道

記憶をとどめて

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燃える雲

Sky22_1

冷たい2月の風だ

向こうには燃える雲
その熱さに触れたい私の体は
冷え切った思考に支配され
右手に広がる小さな闇を
かき消す事も出来ない

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病床で

Ukookei2

頭痛と悪寒で
記憶が同じ場所をずっと回っている

夜になれば胎児のように背中を丸め
冷えた足先をゆるゆる動かす

ゆるゆると弱った頭のなかで
別れた人たちが歩いていく



 

パンパスのある家

3s

医者じいの家の裏道を歩いて
少し坂を上ると左側に小さな家があった
いつもは空き家で 一度豆腐屋が店を開いた
朝鮮人の若い男が1人で働いていて
大きな黒いベルトが天井からの伸びて回っていた

じきに男はいなくなり
横庭のパンパスが午後の日差しに
揺れている

ある日トラホームに罹り
学校の帰りに医者じいに目を洗ってもらった
病室の窓から
パンパスの穂先が見える

死ぬと言うこと

Hamjens_11

同性愛と言うだけで処刑されるイランと
人を殺しても5年で世間に出てこられる日本と
考えれば 命の軽さは同じ事だ

いりぐち

Photo_3

ふと振り返ると
まるで光があふれる
至福の世界から出て来たような
そんな気がして

眠れぬ夜に

Yoru3

眠れぬ夜に
通りに出てみると
一つ二つ
思い出したように雨粒が落ちてきて
谷中の夜を思い出す

芸大のまえから上野桜木町
霊園の入り口の花屋の前で
ふとタバコを吸ってみた

午前2時の朝はまだ遠い
うっすらと白い道の上の桜の木の枝が
街灯に光り・・・
自分はどこに行くんだろうと

土壁の廃屋

Photo

2階の窓がふと開いて
下の姉が大声で話しかけてくる
土壁も懐かしく
右の木陰から猫が走り寄ってくる

縁側には洗濯物が取り込んであって
これから母と二人の姉が喋りながらたたんでいく

私は何をしているだろう
砂遊び? ハーモニカ?

誰もどこへも行かず
私もどこへも行かない

目の裏側の風景だ

一月

Sky21

いつからかこういう風に外に出ても
道端に座ることがなくなったね
ぱらぱらと風に吹かれて
はっぱの落ちる音を
父と歩きながら 聞いた記憶がある
タバコの好きな無口な父と

木々の間から

Sky20

風もなく 穏やかな 冬の山から 
そっと声を出して 歌ってみる

16の頃か 靴ひもを結ぼうとして
黒いセーターの袖口がほころびているのを知った
悲しかったなぁ とても

シュロのある家

Sky003

こちら側の壁に小さな窓を作って
3本のシュロの木を見ていたい
いつまで見ていても飽きることのない
シュロの木を

躍動

Sky16

何という躍動感のある空だ
ふと子どもに返って
走り回りたい気分だよ


(06/01 王禅寺ふるさと公園にて)

煙突

Sky30

江戸川から煙突の見える風景があった
君の住む町からも もう煙突は見えないだろうね

千住の煙突は人を焼く煙だったか
強烈な臭いにくらくらしながら
広い道を歩いていた

誰にでもある不安と混沌と
どこにでもある美と醜と 

美しい樹

Sky19

立ち止って
あなたの美しさに 見とれてしまう

(06/01/08 東京町田市にて)

ひかり

Sky18

空気はこんなに冷たいのに
頭上ではひかりが溢れる

向こうから優しいものが飛んでくるような
真冬の昼だ

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